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老人ホームチェックリスト

<老人ホーム選び~資料請求から見学まで~>

 まず、老人ホームを選ぶ前に、現時点で必要なサービスはどのようなものか、自分はこれからどのように暮らしていきたいのかを考えてください。ホームの立地条件、費用も重要な問題です。自分の中で譲れない部分と妥協していい部分というのが必ずあると思います。簡単な箇条書きでも構わないので、紙に書いて見ると自分のベストなホームはどのようなものかというのが自然とイメージできるのではないでしょうか。

 
1. 情報収集
有料老人ホームには様々な種類があります。自分に合ったホームを探すために情報収集はかかせません。気になるホームが見つかったらまずは資料請求してみたり、ホームページをチェックしてみましょう。なるべく多くの情報を集めて、比較検討するのがいいでしょう。
サービス内容、費用(予算内か)、交通手段、運営方針、設備等をチェックし、自分の希望に合いそうなホームがあれば見学に行ってみましょう。
 

 
2. 見学
パンフレットやホームページ等での情報収集がある程度できたら、施設見学と面談の予約を入れます。
見学では、実際に入居している方の話を聞くことも大切です。面談は思っていること、疑問点、不安なところを素直に聞いてください。それとせっかく見学に行っても担当者不在の場合や、時間帯によって確認できない場所があったりするのでどうしても確認したい内容があれば予約の際に伝えておくのもいいでしょう。
見学当日は、自分で作ったチェックリスト(メモ帳・筆記用具)、家族に相談するようであればカメラ(写真があれば説明しやすくなりますから)、などを持っていくといいですね。あと食事のメニューやホームで出している資料、重要事項説明書などの資料は見学中にじっくり見ることができないので、もらっておいてお家に戻ってからしっかり確認しましょう。
特に「重要事項説明書」は忘れずにもらってきて下さい。重要事項説明書には、費用やサービス、スタッフの体制などが詳細に書かれています。基本的にこの説明書に書かれている内容に反することはないはずです。説明書で不明な点があれば、後日電話でも構わないのでしっかり確認ることが大事ですね。
生涯最後の安息地を探すのですから、妥協せず時間をかけて納得のいくホームを探してください。


 

<15のチェックポイント>

15のチェックポイントを参考にチェックリストを考えていきましょう。チェックリストを作る際のポイントは、気づいたことから書くのではなく費用・施設・食事等に分けて記入していくと抜け忘れのないリストが作れるでしょう。
1.運営理念
どんな企業、施設でもいえることですが、運営理念がわかりやすく明確に掲げているところは、経営陣やスタッフにその思いが反映されています。経営陣が高齢者に対し、どのような理念でホームの運営に当たるのか、そして、その理念が末端のスタッフがどれだけ理解しているのか。それは、入居者の満足度を大きく左右させるものです。

運営理念がないのは言語道断、理念を掲げていても形だけで実行されていなければ、理念はないものと代わりはありません。運営理念とは、ホームの“心”です。設備が素晴らしくても“心”がなければ、ホームはただの箱なのです。

運営理念を掲げているか、その理念はスタッフ全体に浸透しているのか。見学や体験入居の際に、直接スタッフと話すなどして、確認してください。

2.費用
有料老人ホームの料金体系は一般的に、入居金と月額利用料から成り立っています。
<入居金>
ホームに入居が決まり、契約する際に支払いを求められる費用です。その金額、内訳はホームやその権利形態などにより大きく異なります。主に、入居申込金、施設協力費、終身利用権、入居保証金といった、住宅サービス部分の費用に当てられるもの、入居者の権利などが含まれます。
また、ホームに入居している限り、その施設を利用できる権利を指す終身利用権に相当する金額には、一般に償却期間が設けられています。入居時に償却される割合は、ホームによりさまざまで、仮に償却期間中に退去した場合、その計算方式に従って返金があります。けれど、あくまでも償却期間中の退去の場合のみです。ホームによっては、契約時に100%償却される場合もあります。
馴染めずに即退去となった場合のことも考え、償却期間を確認することが重要になります。償却期間を過ぎての退去の場合、返金はありませんが、追加金も発生しません。終身利用権は、その名の通り、退去時まで存続されます。
最近では、入居の際に多額の入居金を取らず、賃貸住宅のように入居金に当たるものを月額で徴収するホームもあります。

<月額利用料>
毎月の、食費や管理費、介護にかかる費用などが含まれます。但し、内訳はホームによってさまざまです。管理費に光熱費が含まれるところもあれば、別途費用に加算されるホームもあります。同じく介護保険利用料の1割負担額が含まれていたり、いなかったり。さらに、利用料の内訳の詳細をパンフレット等に公表せず、「ほか」と説明している場合があります。

入居金も月額利用料も、内訳をしっかり確認することが必須です。月額利用料は現在入居されている、できれば同じ介護度の方々の平均月額費用を確認すれば、ある程度予測できます。また、入院などをしてホームに不在の間はどうなるのかなど、突発的なこともないとはいえません。あとで後悔しないためにも、さまざまなケースを検討、確認してください。

3.立地
立地条件も有料老人ホームへ入居する際に重要なポイントになります。都会、郊外、田舎、さらには、住み慣れた町に近い、家族が住む街に近い、この5つに大別できるといえます。それぞれ、メリット、デメリットがあるので、入居される方が何を求められているのか、十分に考えてください。このとき注意すべきなのは、今現在健康であるときと、介護が必要になったときでは、価値観や物事の考え方に変化が現れる可能性があります。ホームによっては、都会に立つがために自然環境に配慮しているところや、逆に自然豊かな郊外に存在するためにレクリエーションにショッピングツアーや観劇ツアーなどを企画する施設など、工夫を凝らしている場合があります。

立地条件によるメリット・デメリット

都会
○買い物や外出を気軽に楽しめる
○家族が訪問しやすい
×静かに暮らすことができない
×自然が少ない

郊外
○静かで心が落ち着く
○自然のよさと、都会の便利さ、両方が楽しめる
×電車での訪問がしづらい場所が多い

田舎
○静かで心が落ち着く
○自然に触れられる
×買い物や外出を楽しむには不便
×家族が訪問しづらい

住み慣れた町に近い
○友人たちが気軽に遊びにきてくれる
○慣れた場所なので、外出が気軽にできる
×家族が離れた場所に住んでいる場合、訪問しづらい
 

家族が住む街に近い
○家族が訪問しやすい
○家族の訪問頻度が高くなる
×住み慣れた町から離れている場合、友人との交流頻度が低くなる 

4.入居条件
有料老人ホーム側が入居者に求める入居条件は、各ホームごとに規定が違います。介護付きのホームでは、入居を介護認定を受けている方と限定するホームと、問わないホームがあります。そのほか、要介護度によって条件が違ったり、認知症、寝たきりなどでも条件が変る場合があります。住宅型ホームでは、一般的に年齢さえクリアしていれば、入居可能です。この年齢の条件は、もちろんホームによって違いますし、夫婦での入居の場合、夫婦とも対象になるケースもあれば、どちらかがクリアしていれば受け入れるといったホームもあります。

立地条件と同じく、現在の生活状況だけでなく、10年、20年先の心身状態を考慮してください。 

5.規模
有料老人ホームの規模はさまざま。こぢんまりとしたホームもあれば、巨大ホテル並みの大規模なところもあります。費用や立地条件、サービスなど、選ぶ際に重要なポイントはたくさんありますが、この規模も大事です。こぢんまりとした家庭的なホームを好まれる入居者もいれば、近代的な大規模ホームが居心地がよいとする入居者も。入居される方の好みを十分に考慮、また必ず見学を実行してください。

6.設備
有料老人ホームの設備は、必要最低限の設備を整えたものから、ゴージャスなホテルのような設備まで、多岐に渡っています。一般的に整えられている設備と、ホームによって大きく異なる設備、またそれらを共有設備と専用設備に分けることができます。


○一般的に整えられている設備:
エレベーター、ロビー、フロント、浴室、介助浴室、浴槽、食堂・レストランなど

○ホームにより有無、規模の差がある設備:
展望浴場、医務室、キッチン、ホール、談話室、AVルーム、娯楽室、多目的ホール、リハビリ施設、ゲストルーム、来客用宿泊施設、トランクルーム、売店、喫茶店、理美容室、屋上などは、ホームにより設備の有無、規模が大きく異なります。

上記をチェックするには、パンフレット内の写真と説明文章ではわかりません。見学、体験入居をおすすめします。チェックする際は、
・安全性
・機能性
・居住性
この3つを念頭においてチェックしてください。

<安全性>
特に安全性は要注意です。例えば手すり。高齢者に必要な位置に手すりが付いていますか? 介護が必要な方の視線で設備が整えられているのか、など健常者にはなかなか気が付くことができない設備が多々あります。

フロントやロビーに豪華な毛足の長い絨毯が敷かれているのを目にすれば、ゴージャスで悪い気はしないでしょう。ですが、車椅子の方はどうでしょう? 毛足の長さは、車椅子でのスムースな歩行を妨げるでしょう。現在元気な入居者も、先はわかりません。目先の設備の華やかさに惑わされないでください。

<機能性>
十分なサービスが行き届く機能性を持っているか否かは、言うまでもありません。十分な動線を取られているか、廊下の幅、エレベーターの位置など、注意してください。

<居住性>
どんなに安全を考慮した機能性の高い設備でも、居心地が悪ければ意味がありません。壁の色、装飾品、照明、音楽、香りなど、居心地の悪さを感じさせるものがないか、入居者が自分の体で確かめてください。 

7、医療体制
有料老人ホームは、医療機関と提携して協力関係、協力体制を結ぶよう指導されています。けれど、その提携内容に差があることも事実です。医療機関が限定はされているが、ホームから離れた位置に存在し、使いづらいといったケースもあります。実際にどのような提携がなされているのか。それが大きなポイントです。


○協力病院の診療科目をチェック
まずチェックをしたのは、提携されている協力病院が、どういった診療科目を扱っているのかを確認してください。内科、外科は基本として、泌尿器科、整形外科、眼科、歯科も高齢者にとっては重要です。慢性疾患を抱えている入居者は、特に注意してください。

○通院、入院時の対応をチェック
通院の際の付き添いの有無、料金、入院時の生活サービスの有無、料金など、どういったシステムなのか、確認が必要です。特に入院では、入院したらそれっきり、病院に任せきりといったホームもあります。また入院中の月額利用料や、居室利用権はどうなるのか。連携が取れていないホームでは、月額利用料と入院費用の両方がかかるケースもあります。連携が密なホームでは、病院側と介護計画を相談し、退院後の受け入れ体制を整えるといった、退院の可能性を前提に検討するケースもあります。どのような連携を取っているのか、詳細な内容を確認することが重要です。

○提供されるホームでの看護サービスと類似行為
基本的には
・体温、心拍数、血圧を測る
・薬を管理、配付
といったケアは原則として医行為でないと考えられるものではありますが、病状が不安定であり、専門的な管理が必要な場合には医行為であるとされる場合もありえます。
また
・胃や鼻から直接栄養を流し込む経管栄養の管理
・インシュリンの投与
・透析
・たん吸引(医師等による指導、確認、本人の文書による同意があれば例外的に医行為ではなくなります)
・在宅酸素
これらは医行為とされています。
日常ケアとして以下の医行為が必要な方は、そういった体制が整っているのか確認が必要です。

医行為とは、医師、看護師、患者の家族のみに認められた行為です。ですから、具体的に受けられる対応のほか、医師や看護師が常駐しているのか、常駐者の人数を確認するのは、非常に重要なことになります。 

8、介護サービス
介護サービスとは、快適な毎日を過ごすための日常的なサポートです。要介護度に応じて、入浴、排泄、着替え、身だしなみ等の介助を提供します。これは有料老人ホームのスタイルによって、サービスを受けられたり、サービスの費用は別途徴収されたり、さまざまです。スタイル別に紹介します。


<健康型有料老人ホーム>
健康型有料老人ホームは、そのホーム内では介護を受けることはできず、介護が必要な体になったら退去を求められます。ですが、多くの健康型有料老人ホームでは、介護付き有料老人ホームを併設、提携しています。但し、介護付き有料老人ホームへ移った場合、必要な費用等は確認すべきです。

<住宅型有料老人ホーム>
住宅型有料老人ホームは、ホームが介護サービスの提供をするのではなく、訪問介護や訪問看護といった外部の事業所が介護サービスを提供します。ですから、介護が必要な入居者が手配をしなくてはなりません。中には、ホームと提携している事業所から呼ばなくてはならない場合もあります。24時間介護スタッフが常駐しているわけではありませんので、夜間等の緊急時にはどう対応すべきなのか、十分に確認が必要です。

<一般型介護付き有料老人ホーム>
一般型介護付き有料老人ホームは、介護保険法上の一般型特定入居者生活介護を取得し、介護、看護スタッフを雇用、ホームで介護サービスを提供します。この介護基準は、3:1、入居者3名に対し、介護スタッフ1名です。介護費用は要介護度別の1割負担です。最近では、より快適な生活を提供するために、3:1の介護基準を2:1、1.5:1などと、スタッフの数を増やしているホームもあり、その分、別途介護費用が追加されるケースもあるようです。

ホームの中にはスタッフの数が不足しているため、入浴、排泄の介助を一斉に行ったり、起床、食事、レクリエーション、終身と、ホームが決めるスケジュールに合わせるよう強要するホームもありました。現在では、入居者の個性を尊重し、個別のケアを提供するホームが増えています。

<外部サービス利用型介護付き有料老人ホーム>
外部サービス利用型介護付き有料老人ホームは、外部サービス利用型特定施設入居者生活介護の指定を受け介護サービスを受けるもので、2006年より新しく創設されました。介護サービス計画の策定や安否の確認等はホームのスタッフが行い、日常の食事、入浴、排泄の介助は、入居者がホームが契約した外部サービス事業所から受けます。1:1で介護サービスを受けられる住宅型有料老人ホームのメリットと、介護サービス計画にホーム内のスタッフが関わるという一般型介護付き有料老人ホームのメリットがドッキングしたシステムです。ですが、夜間等の緊急時の対応を確認する必要があります。 

9、食事、その他サービス
入居者の生活を彩るため、ホームでは食事に力を入れたり、さまざまなレクリエーションといったサービスを提供しています。また、快適に過ごせるよう、掃除、洗濯などのサービスも充実。それぞれ、有料、無料を確認しましょう。


<食事>
食事は生活を豊かにする重大な要素です。季節に合わせた献立など工夫を凝らしたホームが多いようです。パンフレットの華やかな写真に目を取られずに、以下の事柄を確認してください。
・毎日の食事は食堂でいただくのか
・併設レストランを利用するのか
・濃い、薄い、固い、柔らかいといった、味の好みは反映されるのか
・メニューの選択はできるのか
・量の調整はできるのか
・嫌いな食材は避けてくれるのか
・アレルギーのある食材は避けてくれるのか
・介護食、治療食に変更できるのか
・食事は個室でも取れるのか
・来客用食事は提供してくれるのか
・食事の予約、取り消しのタイミングは?
上記の有無のほか、可能であるなら別途料金は発生するのか、発生するならいくらなのか。食事は毎日の楽しみです。気になることは、必ず確認してください。

<入浴>
お風呂が好き、という方をよく耳にします。入浴は個室なのか、共同浴場なのか。大浴場の有無をチェックしましょう。最近では、温泉をひいているホームもあります。そして、重要なのは入浴の回数です。介助の必要な方は、回数に限りがあるでしょう。指定の時間外の入浴は可能か、可能であれば料金は発生するのか。快適なホーム生活のために、把握しておきましょう。

<レクリエーション、サークル活動、行事>
ホームによって種類は異なりますが、さまざまなサークル活動を実施しています。茶道、華道、将棋、囲碁、ゲートボールといった、同じ趣味を持つ入居者同士が集まって楽しむクラブ活動的なものや、それらの発表会や演奏会、また花火大会、すしパーティといったイベント的なものなどがあり、入居者の生活を華やかに盛り立てる工夫がなされています。自分の求めるサークルやイベントがなければ、ホーム側に相談し実現させることも可能です。生活や嗜好によって左右されるので、一概には言えませんが、生活に刺激やハリを与える重要な要素です。これらも料金の有無を確認してください。

<リハビリサービス>
病気や骨折などでリハビリが必要になる方もいるでしょう。身体的リハビリには理学療法士、生活リハビリには作業療法士、言語リハビリには言語聴覚士が必要です。これら専門家を常駐しているケースと、提携医療機関から派遣し定期的にプログラムを行うケース、逆に入居者が提携医療機関を訪れて行うなど、さまざまです。

<認知症ケア>
認知症に対しては専用の知識が必要ですが、認知症の研究もまだ日が浅く、ケア方法が確立されているわけではありません。そのため、経験が重要になります。現在実際に認知症の方が入居されているのか、今までの経験、経験のある場合、その度合い、認知症専用フロアの有無などを確認する必要があります。また、ホーム側が今後認知症ケアに積極的に対応する予定なのか、勉強会やセミナーなどへの参加なども確認するといいでしょう。また、入居後に認知症の症状が現れた場合の対応なども要チェックです。また、認知症の方には、本来「グループホーム」と呼ばれる専用施設があります。

居室、ホーム内の掃除
共同、集団生活をする空間なので、掃除は隅々まで行き届いてほしいもの。特に高齢者は感染症に注意しなくてはなりません。居室の掃除の回数を確認しましょう。見学、体験入居の際は、清潔であるか、確認をしてください。

その他各種サービス
そのほか、快適に過ごすためのサービスを列挙します。用意されている場合、有料、無料を確かめてください。
・洗濯
・入居、退去時の送迎
・病院への付き添い
・買い物への付き添い
・散歩への付き添い
・行政機関への付き添い
・自宅への送迎
・貴重品の管理
・バス運行サービス
・電話の取次ぎ
・家事 

10、居住空間
個室が基本ですが、中には2人部屋というホームもあります。部屋の間取りですが、元気な高齢者を対象としたホームでは、マンションのようにトイレ、お風呂、洗面台、キッチンなどすべて居室内に完備され、1DK、1LDKといった比較的広い空間が多いようです。逆に要介護高齢者を対象とした部屋は、トイレと洗面のみのワンルームタイプが多いようです。

居室の位置もさまざまです。食堂やリビングといった入居している方々の共有スペースを中心に、居室が囲むように配意されているタイプがあります。このタイプでは、食堂やリビングと、各居室が近いので入居者は居室から出やすく、介護動線や生活動線が絡まず便利。最近オープンした有料老人ホームで多く取り入れられているスタイルです。

次に多いのが、食堂やリビング同じフロアにあるが、端に位置するなど、一部の居室からは離れているタイプです。離れた場所にある居室の入居者の介護度が高くなれば、当然食堂やリビングへの行き帰りが負担となります。

食堂とリビングと、居室が別フロアになるタイプもあります。このタイプは特別養護老人ホームでよくみられるタイプです。移動はエレベーターを使用することになります。完全にプライバシーを守られるという点で、元気な高齢者を対象とした老人ホームでも、採用されているタイプです。

部屋の広さ、位置など、介護の有無、入居者の好みが大きく関係するとともに、どれだけの荷物を入れられるのかもあわせて、ぜひ見学、体験入居をおすすめします。

11、入居者の表情
ホームでの暮らしを、毎日楽しく有意義なものにするには、設備やスタッフの対応も大切ですが、一緒に生活する入居者たちの姿も大切なポイントとなります。先に入居されている高齢者の表情はイキイキしていますか? 暗かったり、楽しくなさそうなホームは、おすすめできません。この点は、パンフレットや院長、スタッフ側の説明では本当のことはわかりません。見学、体験入居の際は、設備や費用のことだけでなく、入居者たちの表情を必ずチェックしてください。

12、苦情対応、入居者間のトラブル処理
入居してから不満が出てこないとも限りません。不満が生まれても、今後生活を続ける予定であれば、不満は改善すべきです。またその際、入居者やその家族がホーム側に不満や改善すべき要求を伝えづらい環境を作っているのでは、選ぶ価値のあるホームとは言えません。
○運営懇談会の開催頻度、内容を確認
通常ホームでは、入居者とホーム側の意見交換会である、運営懇談会を行っています。厚生労働省の指導指針に明記されたもので、 「施設長、職員及び入居者代表により組織する運営懇談会を設けると共に、入居者のうちの要介護者等についてはその身元引受人等に対し出席を呼びかけること。また施設の運営について外部からの点検が動くよう、施設関係者及び入居者以外の第三者的立場にある学識経験者、民生委員などを加えるよう努めること。運営懇談会では、入居者の状況、サービスの提供の状況及び管理費、食費の収支等の内容等を定期的に報告し、説明すると共に、入居者の要望、意見を運営に反映させるよう努めること。」 とあります。中立的な第三者が間に入り運営されているのが、最も望ましいスタイルでしょう。この運営懇談会が定期的に開催されているのか、その頻度、内容を確認しましょう。

○入居者間ではホーム側の対応を確認
毎日共同、集団生活を送っていれば、入居者間でのトラブルがないとは言えません。この場合、ホームが間に入り、第三者として客観的な立場で対応してくれるのかが重要です。その対応方法も確認しておいたほうがいいでしょう。

どちらの場合も担当者やスタッフが、常に入居者の話を聞き対応しているホームであれば、大きな問題になる前に解決できるでしょう。この点も、ホーム選びの重要な要素です。

13、スタッフ、施設長の人柄
入居者がホームで楽しく過ごせるかは、設備やサービスのほかに、スタッフの表情、対応があります。初めてホームを訪れたときに、笑顔できちんと挨拶をしていたでしょうか? スタッフ一人ひとりの笑顔が、ホームの雰囲気を作るといっても過言ではありません。人間ですから、すべての入居者に平等に対応することはたいへんなことです。辛い日々もあることでしょう。ですが、来客に対し、笑顔で対応できるということは、心に余裕があるからです。余裕のないサービスや介護は、 入居者を楽しい気分にさせてはくれません。

◆施設長と直接会話を!!!!!
施設長とは、ホーム運営の責任者であり、スタッフの上司という立場です。スタッフが気持ちのよい笑顔で対応できるか否かは、施設長にも大きく関係します。介護に対する考え方、入居者に対する考え方、接し方など、施設長がいい加減な考えでいれば、それはそのままスタッフに影響することでしょう。介護理念をスタッフにどう浸透させているのか、スタッフのレベルアップのために行っていること、スタッフに対する思いやりなど、見学や体験入居の際に、直接施設長に聞いて見てください。会話をすることで、施設長の人柄、考え方に触れることができるはずです。ホーム選びの材料のひとつにしましょう。 

14、退去要件
終の棲家として入居したホームですが、ホーム側から退去を求められるケースもあります。主に、以下の5つの場合です。

・入居申し込みに虚偽の事項を記載するなど、不正手段での入居が発覚した場合:入居者側の責任です。

・月額利用料、そのほかの支払いを理由なくしばしば滞納する場合:入居者側の責任です。

・ホーム側で規定している禁止行為に該当する場合:禁止行為は管理規定に詳細が明記されていますが、その中で「そのほか、類似行為」とあやふやな表現をしている一文を盛り込んでいるホームが多くあります。入居者同士のトラブルなど、解決でいない場合に一方的にこの行為に該当させられてしまうケースもあります。

・入居者の行動がほかの入居者の生命、生活に危害を及ぼす恐れがあると判断し、かつ入居者に対する通常の介護方法では、これを防止できない場合:認知症の問題行動が発生した場合を想定しています。

・長期入院が必要な場合:末期ガンなど、入院した時点で退院することが困難な場合があります。逆に骨折などでリハビリ等に時間はかかっても退院の可能性の高い場合もあります。ですが、ホーム側で1ヵ月といった期間を決めてそれ以上の入院は退去を促すケースがあります。期間で一方的に判断するのではなく、病院と連携して個別に対応してもらえるか、確認しましょう。


以上のケースを避けるため、実際にホーム側から退去を求めた人数、入居者側から退去をした人数、その理由を確認すべきでしょう。あまりにも説明を渋る、また数が多いようなら選ぶべきホームではありません。 

15、情報公開、経営状況
社会福祉法人や行政などの公益法人や公的機関が運営する福祉施設である特別養護老人ホームでは、倒産のリスクがありませんが、民間経営が主な有料老人ホームでは、当然倒産の危機に直面することがあります。せっかく大金を支払ったのに倒産してしまった、ということのないよう、経営状態を確認することが重要です。

見学、体験入居といった体感することとは別に、できる限りの情報を集めましょう。決算書や財務諸表等が開示されていれば大きな指標になります。現在運営されているホームなら、入居率も大きなポイントです。但し、最近オープンしたホームは、1年半ほどかけてゆっくりと8割入居率を目指す、という傾向にあるので、オープン時期を確認する必要があります。

経営体質を知ることも重要です。これまでのトラブルや、そのホームでは応えられないニーズなど、ホームにとって都合の悪いことを事例や数値を挙げて説明しているホームは経営も信頼できます。実際に暮らす入居者の声を吸い上げる運営懇談会が設けられているのか、入居後も家族へ情報を提供しているのか。情報公開の場を多く持つホームは、信用できるといっていいでしょう。

入手すべき書類
・入居契約書
・管理規定
・重要事項説明書
・介護サービス等の一覧表
・詳細なサービス料金表
・特定施設利用契約書
・決算書、損益計算書、貸借対照表を含む、財務諸表等一覧
・東京都の施設の場合、東京都消費生活条例による表示書面

<実際ホームチェックリストを作っていこう>

15のチェックポイントを参考に、チェック事項を作ってみました。下記の項目はあくまで参考です。ご自身が住むにあたって、どうしても聞きたいことや確認したいことはもっと掘り下げてチェック項目をつくってもいいですし、強調したいところは色を変えるなど、一度お手製のチェックリストを作ることをおすすめします。
<費用>
・入居金、返還金制度の有無、入居金の内訳、償却対象額、初期償却がどのくらいか、償却期間、月額費用、月額費用の内訳(食費・管理費・その他、何にどのくらいかかっているか)、別途費用

~入居金の内訳、償却対象額、初期償却、償却期間を確認し、半年後、1年後、3年後など将来の返還金額をシミュレーションしてみましょう。償却期間の形態(月割、年割など)で計算方式が変わってきます。月額費用、特に管理費の内訳はホームによってさまざまですので確認を忘れずに。別途費用項目も確認し、月にどのくらい必要になるのか想定月額費用を計算しましょう。~

<立地>
駅からの所要時間(交通手段)、送迎サービスの有無、周辺環境

~駅からバス利用の場合、時刻表などでバスの本数も確認しましょう。ホームからの送迎サービスがある場合もありますので併せてご確認を。そこに暮らすことを想定して周りの環境などもチェックしておきましょう。~

<ロビー>
明るさ、受付対応、雰囲気、防犯対策
<食堂・食事>
明るさ(清潔さ)、雰囲気、メニューの確認、メニュー選択制の有無、病気等の対応食の有無と費用の確認、来客用食事サービスの有無・金額

~食堂にはメニューなどが貼ってあります。季節感を大事にしたメニューであるかなども食事が楽しくなる工夫のひとつです。 洋食、和食が選べるところもあります。 嚥下能力別食事加工や病気対応食の料金の有無も確認しましょう。~

<共用トイレ>
清潔さ、車椅子対応、使いやすさ、におい


<共用洗面所>
清潔さ、車椅子対応、使いやすさ


<浴室・入浴サービス>
清潔さ、整理整頓、機械浴・リフト浴、個人浴室、大浴場、入浴回数、時間外入浴の有無・費用、利用時間

~機械浴もねたきりの方が入れるものや車椅子対応のものなどがありますので、種類の確認が必要です。他の方に気兼ねなく入浴したい方は個人浴室の有無も確認が必要です。時間外入浴に関してもチェックしておきましょう。~

<リビングスペース>
明るさ、整理整頓、雰囲気、テレビ、新聞・雑誌


<リハビリ>
リハビリ体制の確信、機能回復訓練室の有無・使用方法

~身体リハビリが必要な方は機能訓練室の設備や体制などの確認も必要です。また、日常生活の中で介護予防につながるアクティビティなどの有無や種類も確認しましょう。それぞれ理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などの専門家によるプログラムの有無も要チェックです。~


<ほか共用スペース>
全体の冷暖房、段差、廊下幅、てすり、エレベーター

~廊下は車椅子がすれ違えるかどうか、その幅がない場合は待機場所などを確保してあるかどうか確認が必要です。エレベーターはストレッチャーが入るスペース、車椅子に座った時の鏡の位置などの視点でチェックしましょう。~

<専用スペース>
明るさ、清潔感、インテリア、ベッド、収納、トイレ、洗面所、ナースコール、冷暖房、ドア

~ナースコールはベッドとトイレにあるか、手の届くところにあるかを確認しましょう。家具の持ち込みが可能かどうかも確認項目のひとつです。~


<医療体制>
医師待機の有無・頻度・時間、看護師待機の有無・頻度・時間、提携医療機関、病院までの所要時間、診療科目、提携内容、定期健康診断の有無・頻度

~医師、看護師の待機時間、提携・協力医療機関の診療科目、提携・協力内容は必ず確認しましょう。また、提携・協力医療機関以外への通院の対応、ケアに医療行為が必要な場合は対応可能かどうか、可能な場合の対応方法なども確認しましょう。~


<介護体制>
職員の人数(ヘルパー・看護師・栄養士等の人数)、夜間体制(ヘルパー・看護師・医師等の人数)

~特に夜間体制の確認は重要です。清掃員が専門でいるかスタッフが兼任かも確認できます。(清掃員が専門にいる場合、ヘルパーは介護に専念できます)清掃状況はスタッフに余裕があるかどうかを見るひとつのポイント。見逃さないようにしましょう。 ~

<サービス>
居室清掃頻度、清掃状況(共用部分、専用部分)、洗濯頻度、汚物との分別


<有料サービス>
整容、クリーニング、病院付き添い等の確認


<認知症対応>
対応の確認

~認知症対応は、実際にケアの実績・経験があるかどうかも確認しましょう。認知症ケアに関する研修や勉強会などの参加状況などを聞いてみると、ホームの姿勢などがわかります。~


<イベント・サークル>
内容や頻度の閣員

~何かご趣味をお持ちの場合は、それを活かせるサークルがあるかどうかも確認しましょう。 イベントやサークルが多いホームはやはり活気があります。 作品や発表会などの成果発表の場があるかどうかもチェックしましょう。 何かご趣味をお持ちの場合は、それを活かせるサークルがあるかどうかも確認しましょう。 イベントやサークルが多いホームはやはり活気があります。 作品や発表会などの成果発表の場があるかどうかもチェックしましょう。~

<入居者状況>
平均年齢、介護度、男女比

~入居者状況は、今の状態にあっているかどうかのひとつの指標です。あまり入居予定者の方と状態がかけ離れた方達が多いと、お友達を作ることも難しく疎外感を感じてしまうこともあります。~


<雰囲気・様子>
入居者、スタッフ、施設長、ホーム全体

~入居者の方の表情、スタッフは余裕のある介護をしているか、施設長の介護に対する考え方、入居者やスタッフに対する心の配慮など、いろんな話の中で感じ取ってください。~


<情報入手>
以下の物は必ず受け取り、目を通してください
入居契約書、管理規定、重要事項説明書、介護サービス等の一覧表、サービス料金表、特定施設利用契約書(介護保険)、財務諸表等一覧、(東京都の施設であれば)東京都消費生活条例による表示書面

~なるべく多くの情報を入手しましょう。家に帰って熟読し理解しておくことが大切です。~